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【修了生インタビュー】 自分の地域を知るという方向に動き出してみると、いろんな出会いや気づきがありました。


コミュニティナースプロジェクト第6期修了生 中山 早織(助産師)

◆自己紹介

東京出身で、現在は鳥取の産科クリニックで助産師として働いています。

看護師になる前には、本屋で働いていたこともあり、文章を書いたり読んだりするのが好きです。助産師として働く中でも言葉を大事にしていて、今後は自分でも少しずつ文章を書いていきたいと思っています。

◆受講の動機

以前は、大きな病院の産科で働いていたのですが、その頃は入院中の患者さんとだけ関わって、退院するとその後の姿が全く見えなくなってしまっていました。鳥取のクリニックに移ってからは、患者さんが近いので外来から出産、一ヵ月検診に至るまで手厚くケアができていると自負していました。

しかし、病院外で母たちのサロンを実施した時に地域に出た(退院した)お母さんたちの口からこぼれてきたのが「一ヵ月検診までは良かったけど、その後が辛かった」という声でした。一ヵ月検診の後、そこから先に続く関係性が途切れてしまっていることに、この時に初めて気が付きました。

「何かあったらいつでもクリニックに連絡して」と、常々伝えてはいましたが、病院という場所は何か明確な理由がないと気軽には来づらい場所だというのが現実でした。ここをもっと変えていきたいという思いが一番の受講動機です。

サロンを実施したことで、病院の中にいるだけでは見えなかった地域に戻った母の姿が見えて私自身とても勉強になりました。

しかし一方で、苦しくなってしまう自分もいたんですね。月1回のサロンはボランティアで実施していたんですけど、学びの多さや意義や価値を感じる一方で、どこか仕事の延長線上というか義務感でやっていることが負担になってきてしまっていました。自分自身の関心や情熱を大切にしつつ、地域側に求められる期待や役割とのバランスをどう描くか、その方法を講座の中で知りたいと思いました。

◆受講後の活動の変化

修了後、クリニック内で月1回母たちのサロンを実施していますが、やはりこれは業務だからこそ継続してできることなのかと思っています。

今はそれとは別の視点で地域に関わり始めています。

これまで私は、母と子しか見ていませんでした。『産科版CNになりたい!』と思っていて、高齢者ばかりの地域は範疇外というか、自分のフィールドは母と子がいるところだと思っていたんですね。でもそんなことはないよなぁと、自分の住んでいる地域にも目が向くようになりました。

実際にCNの在り方というのは、産科版とかいう枠組みで語られるものではないですよね。

自分の地域を知るという方向に動き出してみると、いろんな出会いや気づきがありました。

家の近所の旧保育園跡地で、週末毎に子どもの遊び場づくりを行っている方がおられて、そこへ顔を出してみると、超ベテラン保育士さんと出会いました。そして、彼女と一緒に“保育士×助産師”で企画を作ろうという話が生まれました。また、地域の夏祭りで小学生の子どもたちの手伝いをしていると、保護者の方や赤ちゃんを抱いたお母さんたちと出会えたりするんですよね。一見高齢者ばかりに見えるのですが、お母さんたちがこんなにいるんだなという気づきは、私にとって結構大きかったです。

今はそうやって、自ら外に出ていくことで人と繋がって周囲に自分の存在をゆるやかに知ってもらうという段階です。

それと並行して、もう一つ。

現在友人とルームシェアをしながら古民家に住んでいるのですが、そこをコミュニティスペースとして半分開いて半分閉じる暮らしをしています。

最近我が家で行った即興劇のワークショップ(プレイバックシアター)で、赤ちゃんを連れたお母さんが参加してくれたんですね。その時、場の仕切る方がとても上手で、自然と赤ちゃんと大人が共存できる場になっていて、それがとてもいいなと思いました。私が求めていたのは、お母さんのための場ではなくて、お母さんも子どもも参加できる、だれもが共存できるような場だったんだと気づきました。だれもが心地よく共存できる場をデザインすればいい。それが私の目指すカタチなんです。

受講前と受講後の大きな変化としては、CN×<?>の<?>はなんでもありなんだと思うになったこと。自分の好きなことを設計すればいい。そう考えると楽しいなと思えるようになりました。

CNの講座受講は、自分を開き始めるきっかけでした。

自分を開くと、地域の中の自分、助産師、看護師としての自分をもっと知ってもらいたいと思うし、同時に地域やそこに住む人を知りたいという思いも生まれてきました。ここでの暮らしや関係性への感謝の気持ち、今住んでいる家(古民家)やこの地域を守り続けてくれた人への感謝の気持ちが湧いてくるんです。

今は自分がやりたいことと、地域で何ができるか、何を返していけるかというところの、丁度いいバランスを見極めながら、自分らしいあり方を模索しています。

◆受講を検討している方へのメッセージ

私の場合、生徒になるという意識が、自らの内側にあるプライドを外してくれたように思います。講師陣のみなさんともたくさん話をしました。助産師だけど子どもが少し苦手であるということや、生後一ヵ月までの子どものことはわかるけど、その先については子育て経験もないから詳しくは分からないとか。そうすると、無意識に避けてきたこと、認めたくなくて見て見ぬふりをしていた苦手意識が顕在化しました。

もやもやを抱えた自分を中途半端で終わらせたくなかったし、ありのままの姿をさらけ出し、かっこ悪い自分と向き合うことが、この機会を最大限生かすことになると思いました。

受講生の中には、やりたいことが明確で、それを広げていくための手段を知りたいという同期もいました。そういう人でないと受講してはいけないのかなと思っていましたが、そんなことありません。私の様にまだ目的がはっきりしていない段階の方にこそ、是非受講をおすすめしたいです。講座を通じてもやもやが晴れることで、見えること、始まることがたくさんあると思います。